やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

 

駅は整然としている。そういえば、わたしは駅について誰かに教えてもらったことはない。電車が到着するところ。電車に乗るところ。切符が売られているところ。授業で教えた方がいいんじゃないか。小学校くらいのときに。「駅ってなんですか?」。駅は複雑だから。

 

どこからが駅なんだろう。あの歩道橋からかしらと訝りながらわたしはホームにいた。柱に各駅停車とそうでない電車の止まる駅が書いてあり、電光掲示板には次の電車の到着時刻が流れている。読むものがたくさんある。どれを読めばよいかわたしは判断してそれを読んで、間違いなく次の列車に乗るのだと決めた。車両の数と乗客が並ぶべき場所は足下に書かれている。駅は本当に読むものが多くて、かなり不親切に思えた。上から読んでいけばいいメールや右から読んでいけばいい本とは違う書き方だ。


これは、たぶんプログラムに似ているだろうと思う。わたしが駅に入力された信号だとすれば合点がいく。「駅ってなんですか?」「プログラムです」。もしもこれが正解なら小学生にはきびしいな。頭で理解しようとするなら、でも、駅は理解するものではないからなんてことはない。情報の過剰さに面食らうけれど、行きたい駅さえ分かっていればそこから逆引きして自分に必要な書きものを読めばいい。それはそれで難しい作業だが。整然とした駅にはしっかりとした足どりが似合う。学生たちが大人びて見える。