やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

石炭

 

石ころみたいなわたしでも、熱く、石炭みたいになることはある。石炭たちがたくさん集まるインターネットの炎上は、SLを走らせる代わりにそのエネルギーでもって広告収入を稼いだりするんだってさ。温かさを集めて保っておくのは難しいことだ。魔法瓶や発電所をわたしは思い浮かべた。

 


 

 

逃げよう石ころ。また熱くさせられる。冷えたらまたくべられて温度を保てなくなったら捨てられる。「炎上」に近づいてはいけない。

 

「ああ、全然わかってねえな先生」

「なにかに使われる石ころは悪いもんじゃない」

「そのうちに」

 

彼は述べた。

そのうちに、自分で自分を叩いて熱を出すのを覚える。誰かの熱にあてられて熱くなるのはいい。俺が薄気味悪く思っているのは自分を叩いている連中だ。誰かを叩くのは笑えるが自分を叩くのは笑えない。自分を叩きながら笑ってる連中の方が薄気味悪いね。


野蛮な男、彼は他人を殴る快感を知っている。私は知らない。それで彼との会話はいつもうまくいかない。

ああいう焚き付ける、炎上に加担してはいけないと私は思う。私たちの熱なんて人肌程度のものだけど、それらが数字になって集まって足されて、燃えるような温度に見えてしまう。燃えてるなんて錯覚。集まった人肌温度を足してしまう眼が燃やしているだけ。そんなのに感化されてこっちが焦げてしまうのは愚かよ。

 

「錯覚だろうが使えるなら使う」

加担してはいけないだって?なんだそのルールは。おまえがそれを守るのは勝手だが俺に押し付けるなよ先生。それとも親気取りか。おまえの言うことを聞いたら俺を気持ち良くしてくれるなら別だ。赤の他人だろう、赤の他人とは交渉するんだよ。知らなかったのかい。

石ころは得にならない話をありがたく拝聴するほど愚かじゃない。あんたはどうして恥じずに無知を晒してしまうんだ。滑稽で笑えるぜ。あんたが軽んじている男に滑稽だと笑われるのは我慢ならないだろう。そら、顔が石炭みたいに赤くなってきた。