やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

マリーを部屋から出すな、ファントムペインは共感できない

 

ファントムペインは共感できない。

 


背中にない翼が痛いと誰かが訴える。

医者は「あなたの背中には翼なんてありません」と応える。

 

「あなたの妄想です」
「鏡を御覧なさい。鏡は真実を写します」
「ほら、翼なんてどこにも映っていないでしょう」

 

でも、飛ぼうとしたときに幻の翼が痛む。

お医者さん、あなたって飛ぼうとしたことないでしょう?
だから痛まないんですよ。
痛いんです。

 

「しかしね、鏡をご覧になったでしょう」

「あなたの眼に翼が見えましたか」

 

見えません。
でも先生、眼が痛みを見つけられますか?
痛みは脳にあるのではないですか?
脳が見られる鏡をください。
そこに痛みがあるはずです。

 

「残念ですが、あなたとは話ができません」

どうしてですか?

鏡の真実を受け入れられないのであれば、他の患者さんは納得してくれます。そうして少しずつ幻肢痛は癒されていきます。あなたが妄想にしがみついていては治療は進まない。鏡をご覧なさい。幻肢痛の原因です。ほら、鏡には映っていないでしょう。その痛みはないんです。

 

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治療法は二つあって、一つは鏡を見ること。もう一つは飛ぶこと。それで、飛ばせてくれる医者は魔法使いの類型として知られてる。二種類の医者と、二種類の患者がいて、その組み合わせ式で幻肢痛の話は解かれていったりする。