やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

嫉妬、憧れ、ライバル心

 

 

下、上、左右。嫉妬、憧れ、ライバル心に「羨ましい」も加えて煮込んだスープがふるまわれたとして、味わい方はそれぞれ。嫉妬の味がすると言う人もいるし憧れの味がするという人もいる。わたしは猫舌なので「あっつ!」となってしまいそう。数式でも解くみたいに「憧れをみじん切り、ライバル心は大さじ二杯」とやる料理人たちはキッチンにいて主役はお客様です、なんて思ってる。ちょっとした騒動だ。


「憧れの味が強すぎて飲めたもんじゃないわこんな安物」「本当の味を知らないのね」「あちっ!」「こっちは黙って食べているのに」「熱っつ!」「文句があるなら来なければいい」「僕は……」「あっつい!」「いやこれは嫉妬が主役のスープだ」「あっつ!」「あっつ!」

 

「「あっつあっつってうるさい!!」」

 

すみません……。

 

他の客たちが帰っていったあとでようやく飲みごろになったスープを口に運ぶ。複雑な味がする。コックさんが食器を片づけにくる。雪山で遭難してるときだったらこのスープで身体を温められて最高なのに。まあ、雪山じゃないしなんだったら初夏だし。コックはあの騒動を聴いていたに違いなくて大変だなと同情するが、お客さんはお金はらってるし仕方ないな。味を決めるのは配分なのか素材なのか料理人の腕か客の舌か。素材が美味しく料理されたがっているのならそれを美味しくできないと。