やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

決心

もう何度めになるかわからないが、また決心する。わすれるから。忘れてしまうのはおそらくグチか、よく言って土下座みたいなものだからだろう。繰り返しているから忘れる。忘れるから繰り返して厭わなくなる。どうせ僕は今後も決心し続ける。

僕が研究室に入るとSはボソボソと口ごもった。後から同僚に聞いたのだが、あれは僕へのあいさつだったらしい。Sによると僕はあいさつも返さない不義理者ということだ。そこで僕は彼に、聞こえなかったんだすまないねと伝えた。そのあと僕は彼に会うたびおはようと声をかけることにしたが返事は返ってこなかった。

しばらくして、また同僚から聞いた。Sは僕のことをあれこれと言っているらしい。なので「何か僕へ言いたいことがあるのか?」と彼に尋ねた。

「何もない」

「しかし、言ってるそうじゃないか」

僕はまたかと思っていた。ようするに、Sは僕が気にくわない。だから同僚には僕を悪く言うが直接ぼくには伝えない。関係を改善する気はないんだ。なら何をしても無駄だろう。こんなことは忘れるほど繰り返されているよくある話だ。

その日から僕はSのことを思わなくなった。忘れようとしたわけでなかった。思わないようにしようと決心せずに思わなくなるのは気分が良かった。

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