やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

幽霊はおどかしがいのある人へやってくる

 

「君は幽霊を信じるか?」

信じちゃいないが、見た人がいたなら見たんだろうさ。

「じゃあ幽霊はいない?」

いないと思うが見たなら見たんだろう。恐がりたいのだったら幽霊を見たっていいじゃないか。誰が見た?

「いや別に誰のことでもない」

「ところで、誰も恐がりたいなんて思わないだろう?」

おまえ、俺に何か隠し事してるんじゃないか?

「は?してないよ」

本当か? 小さな隠し事ならいいがなにか大きなことを隠すのはなしだぞ。俺とお前の仲だからな。隠し事はなしだ。

「ああ」

怖くなかったか?

「なにが?」

俺が隠し事をしてるんじゃないかと思わなかったか?

「お前が聞いたんじゃないか」

いや。ところで、人は恐がりたいと思うさ。
最近、つけ狙われているとか、盗聴されてるとかそんな被害妄想を、妄想と言うのは可哀そうだが、そんな話を聞くだろう。あれは恐がりたいから恐がっているんだ。

「どうして?」

そりゃあ、自分をつけ狙われるほどの重要人物だと信じているからさ。重要人物だったら盗聴もされるだろう。どうでもいい奴を盗聴したってしょうがないじゃないか。

「 卵が先か鶏が先かみたいな話じゃないか?」

それどっちが先なんだ。

「いや、知らないが」

まあ、そういうことだ。どうでもよくない奴だからつけ狙われるのか、つけ狙われるから重要人物なのか、どちらでもいいのさ。

「ほうほう。まあいいや」

うん。だから人によっては幽霊も見るだろう。そうしたら、幽霊の話ができるからな。