やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

倒錯

倒錯できなくちゃ人間じゃない。数学者は数と式にぞっこん。太った人しか好きになれない人。書類をめくる総合職の指。切手の収集家。ポケットの中の石にだって好意や執着を寄せられる。ベルリンの壁と結婚した女性は未亡人になってしまった。あるいは、象徴だって概念だって倒錯の対象になる。倒錯することができるのは人だけで、AIには無理じゃないかな。人がコンクリートに好いてなかったら電柱も立ってない。変な夢も見ないんじゃないかな。スマホゲーに課金しないんじゃないか。たくさんの小さな倒錯でできているわたしは、土曜日にチョコレートパフェを食べて、駐車場に止めてあった緑色の車をかっこいいなと思った。大学のサッカーコートは綺麗に整備されていて青年の身体が機敏に動いていた。わたしの小さな倒錯は次々と流れていって最後には常夜灯も消して真っ暗にした部屋で眠った。