やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

狂えるのにもったいない

 

以前に君は「変わらない性格を信じない」と書いていた。しかし、僕を含めたほとんどは変わらない性格を抱えて墓に入ると思うので寂しくなった。誰もが一度は自分の性格をつくる。それが二度、三度、n度と続いてつくられないのは、そんなに性格が変わったら大勢の人たちが不便を強いられるから。昨日まで実直だった電車の運転手が今日は蝶を追いかけどこかへ行ってしまったらとても困る。狂ったら困る。文章作品や映像作品や音楽作品は変われない僕たちを少しの時間だけ狂わせて変わらせてくれる。狂ったり変わったりまで行かなくとも違う性格に触れさせてくれる。

ベッキーと不倫関係にあったミュージシャンがテレビで釈明させられているのを見て心底いやな気分になったのだけど、芸術をやる人が狂人でなくてどうすんだ。芸術家はオピニオンリーダーじゃない。アウトサイダーは不倫くらいするだろう。僕たちを狂わせてくれる人を、墓まで変わらない僕たちを変えてくれる人を、僕たちと同じように狂わせまいとする狂った行為があって、なんであんたらは自分の首を絞めるようなことをしてるんだと思った。もったいない。