やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

個人的な意見

個人的な意見なんてものがあるか。

彼はそう語り始めた。

 

「意見を俺に話しているなら、俺とそいつの話じゃないか。個人じゃないだろう」。

 

ひとりごとのつもりなのだろう。そう僕は諌めたが、彼の語りは波だっている。

「個人の意見」なんて言って話し出す奴は信用ならない。だいたい意見ってやつが俺は嫌いだ。そんなのは議員にでも陳情すればいい。俺は政治家じゃない。

 

そうだな。しかし、人が三人集まれば政治が始まると言う。妥協を探そうということさ。

 

僕は自分でそう言って。自分の言葉が感情に火をつけた。

彼の言うとおり、個人の意見なんて言う奴は糞だ。

意見を言えば、調整が必要だろう。

だが、個人の。この個人のというのは醜悪だと思われた。


個人の愚痴、あるいは、個人の誓いと表すべきものだろうな。

ああ、そうだ。愚痴を聞いてくれるのはスナックのママくらいだろう。

三杯目のビールを飲み干して、彼の顔が赤みを帯びてきた。