読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

やまもり

山森(故障派)と森山(特になし)の文集

昔の彼

こんなわたしでも恋をしたことがある。彼は内気だったけど話をするととても面白くて、優しくて、何かに向かっていつも歩いていた。初めは彼の廻りには彼の友人たちがチラホラいて、彼らは楽しげに真剣に笑ったり怒ったりしてた。その中でも彼の歩みは独特だ…

適応していく取り残される

つくづく人は水のようだと思う。海に住んでいたものの内、渚に逃げ出したものがいた。海に住めなくなったから。渚で生きるのは過酷だった。渚で生きていたものの内、陸に逃げ出したものがいた。陸に生きていたものの内、森に逃げ出したものがいた。森に住ん…

何も言わずにすむ

ねえ、ちょっと、聞いてるの? なんだい。僕の何も言わずに済ます権利を侵すのかい? 何も言わずに済ます権利?そんなのあるの? 僕がつくったんだ。いや、誰かの受け売りかな。私が呼んでいるのだから応えてよ。応えたじゃないか。僕の権利はどうなるのって…

仮面と骨

わたしはその人を男だと思う。簡単に言えば彼はずっと「釣り」をしていた。匿名の掲示板で男のフリをしたり女のフリをしたり、政治のことを書いたと思えば料理のことを書いてみたり、花火について書いたかと思えば絵について書いてみたりしていた。たぶん、…

良心は敵をやっつけるところまで含まれる

良心は敵を定めてやっつけるところまで含まれる。線をひいて守る領野を確定して、その領野を犯すものを敵として排除するところまで含まれる。なので、穏やかに見えるいわゆる良い性格に良心はない。良心は区別なり差別なりの線をひくことと共にしかありえな…

下ネタは万国共通語

世界中のたくさんの人たちに伝わるのは、なんといっても下ネタと暴力かなと思う。もう一つ「わからない」も共通語としてあるのだけど、これは伝わらない共通語なので却下。暴力はいろんな情報を伝える(苦痛や敵味方の区別など)。伝達においては沈黙よりも…

配と慮

配慮の能力を競うレスラーたちが突進する。転げたら腕をアームロック。骨は折らない。その代わり「まだ配慮が足りないようだな」と言う。その通り、まだまだ配慮が足りないからメダルが遠い。書いていて自分でわからなくなってしまった。何を書いているんだ…

「あんたは知らないだろうけど、ここじゃ少額を賭けるのが決まりなんだ」

書くときも読むときも何かしらは賭けられている。 書かれた文章の中には、たまに命が賭けられていたり人格や良心や法外なものが賭けられているものもある。 すっからかんになるわけにはいかないので大概の読者はたいしたものは賭けられないというか、 「読め…

いちご

感情と理性

わたしはジュースを賭ける。感情と理性は同じもの。理り通りに映画館で笑ったり泣いたり怒ったりしたあとで、それを分けて語り始める人の気が知れない。

わたしは何にでも =? を付ける

「なんでおまえはこんなことも知らないんだ。こんなの常識だ」。 今、知りました。あなたが教えてくれたから。「俺が言っているのはそんなことじゃない」。どういうことだろう。わたしは常識外れの仲間外れだ。でも、彼はとてもわたしを必要としていた。 手…

てかげんなしで遊ぶには

言語のこと。 自らを読めるものとして他人に表すよう強制された。または、嬉々として表すことに飛びついた。私が初めて「私」と言ったときを思い出せばその時のドラマが判明するのだけど僕は残念ながら覚えていない。昔の人はそのドラマを象徴界への参入と呼…

寝返りのうち方について

「寝返りをうった」とは書けるけど、それを詳細に書こうとすると途方に暮れてしまう。どこの筋肉や神経がどんな風に流れ動いているのか、わたしは何も知らない。わたしは寝返りをうつ知性を身体の知性と名付けている。わたしは身体の知性を知らないが、わた…

難しい横文字よ、てめーはだめだ

よく躾けられた者は躾ける権利を有する。かつての王さまや神さまはよく躾けられていないと思えるが、躾ける権利を持っていた。不思議だ。なにがどうなって変わったのだろう。わたしにもよく分からないことがあって安心したし、楽しい。躾を逃れている他者が…

一人は決して寂しくないが、仲間外れは適応障害

忘れられないのが、「1+1は2だ」と強弁していた人のこと。具体的なことは忘れてしまったか、最初から具体的な事柄をわたしが見ていなかったかで書けないが。とにかくその人は、たとえば「ゴミを拾うのは1+1が2になるように当然のことだ」のような比喩で誰か…

狂えるのにもったいない

以前に君は「変わらない性格を信じない」と書いていた。しかし、僕を含めたほとんどは変わらない性格を抱えて墓に入ると思うので寂しくなった。誰もが一度は自分の性格をつくる。それが二度、三度、n度と続いてつくられないのは、そんなに性格が変わったら大…

空の色を青と呼ぶのは相続された

空の色を青と呼ぶのが正しいかどうか誰にもわからない。ただ、青と名付けられた事象があって、それを青と呼ぶことで不都合なく過去は過ごされていった事実がある。それを青と呼ぶことで起こったこと、起きなかったことを想像できるほどには、まだ、わたしの…

入れ替えてあそんでる

藤森 「地球上に女子が何人いるか知ってるー?」 中田 「三十五億」 NAKATA! NAKATA! NAKATA! with B 「吠えろ」(hey)「声上げろ」(ho) 「その血と魂を、今、捧げろ」 ブルゾンちえみ 「どうも、perfect human です」

高低差で耳がキーン

出会いは、わたしとは違うものと出会うことだと決めつけている。違うものと出会えばわからないのは当然で、それは読めないものとして現れる。違うのだから。友人との会話は「わかるー」が多くて、ようするにわたしたちが同じかたちをしている事実の確認をし…

後悔は通れない

誰だって自分だけが自分のことを知っていると思いたいし、そう思う。頬をつねって痛みを感じたら夢じゃないという感じ方があるけど、思っているかどうかはなかなか思えないから、恐れや不安や痛みの方が分かりやすい。物知りは分かりやすいことを知っていて…

花を見て、花びらの数を数えるのは詩情がない

子供に絵本を読み聞かせるのは、誰かの話をよく聞く子に育てるため。集中して、遮らずに、他の何かを思わずに、よく聞く。耳を傾ける。誰の話に耳を傾けるのか。読み聞かせてくれる母や父の話。読み聞かせる母もわたしに聞かせると同時に誰かの話を読んでい…

続き

「なぜ読書をしなければいけないか」。そんな問いからは離れるけど、横山光揮の三国志(漫画)で諸葛亮が「書を読む者に良心がないわけがない」と言っていて、僕はその通りだと感心した。書を読むと良心が育つのは「まじめさ」に繋がっているのかなと思う。…

笑いを悲しみ飛ばせるか

言語が思考を決定している。いくつかの外国語に通じている方が「日本語で話すと怒りにくくなる」「私は話す言語によって性格が変わるのかもしれない」と書いていて、わたしはそれを当たり前だと思う。性格は話し方。書くときには書き方が性格になる。性格は…

耳を閉じる

耳は閉じることができない。僕と同じようないつも聞かされる側の人たちへ。もっと優しい耳を持っている人たちのことを思いたい。がなり声をあげて入ってくる父や母の声なんて聞かなくていい。文章も同じ。大きな声の誰かの話なんて聞かなくていい。大きな声…

楽しくなるか、苦しくなるか

楽しい夢なんて見たことない。何かに追われていたり、嫌な奴が出てきて嫌なことを言われたり。そんなのばかり。楽しいことは現実の中で楽しそうに現れる。そっちの方が夢みたいだ。あなたが楽しそうでわたしも楽しくなるか、それとも羨ましくて苦しくなるか…

名をつけよう

名をつけよう。そんな機会はそうあるもんじゃないぞ。 「ある作家は名前をつければそのキャラクターが動き出すと言っていたよ」 ふうん、そうねえ。でも、名前をつけるってなんか恥ずかしい。親でもないのに名前をつけるなんて。幼いというか、ままごとみた…

個人的な意見

個人的な意見なんてものがあるか。 彼はそう語り始めた。 「意見を俺に話しているなら、俺とそいつの話じゃないか。個人じゃないだろう」。 ひとりごとのつもりなのだろう。そう僕は諌めたが、彼の語りは波だっている。 「個人の意見」なんて言って話し出す…